Archive for 8th 7月 2010

英文004

今日は、年金型保険金へ相続税と所得税を二重課税することは違法という最高裁判所の判決のニュースから英文を取り上げました。

Double taxation on pension-insurance payouts overruled(2010/07/07のJapanTimesより)

「年金型保険金への二重課税は違法」

 

At issue was the interpretation of a provision in the Income Tax Law stipulating that income tax will not be levied on inheritance, bequests, gifts or donations from an individual.

 

単語チェック
*issue<名詞>問題
*interpretation<名詞>解釈
*provision<名詞>規定
*Income Tax Law<名詞>所得税法
*stipulate<動詞3>規定する
*levy<動詞3>課税する
*inheritance<名詞>相続財産
*bequest<名詞>遺産
*gift<名詞>贈与
*donation<名詞>寄付

構造チェック

まずは、英文全体の構造を確認してみましょう。この英文は、全体のイメージの型がポイントです。

イメージ2ですが、通常のイメージ2は、A-V-A’なのに対して、A’-V-Aとなっていますね。at issueは前置詞句(形容詞か副詞)なので、名詞Aになることはできません。したがって、この英文はA’-V-Aとしか考えられません。
これは、倒置というルールに従って、語順が変わっているためです。倒置は、「本来後にある要素が前に出た場合、その後の語順が変わる」というルールで、この英文では、後にあるべきA’が前に出たために、名詞Aとbe動詞の語順が逆(A-V→V-A)になっています。
では、この英文でなぜ倒置が起きるのかを理解しておきましょう。

まず、英文というものは、「古い情報を前に置き、新しい情報を後に置く」という論理上の要請が働きます。「古い情報」というのは、すでに話題に出ている情報のことで、「新しい情報」というのは、その文で初めて触れる情報のことです。一番典型的な形は、イメージ3の形で、「古い情報(名詞A)+動詞V+新しい情報(名詞B)」という形になります。つまり、「古い情報」に新しい情報を関連づけながら、論理展開をしていくことによって、文章の流れをスムーズにしているわけですね。ちなみに、これを逆の形にしてしまうと、すごくわかりにくい文章になってしまいます。
では、今回の英文について考えてみましょう。この英文の前には、「年金型保険金への二重課税について、最高裁が下級審の判決を覆した。」という内容の英文があります。それを受けて、この英文があるということが重要です。そして、この英文は、名詞Aが「所得税法の規定の解釈」であり、A’が「問題となっている」という形容-前置詞句です。この2つの内容で、「古い情報」はどちらか考えてみましょう。
ちなみに、日本語で考えてみてもいいです。前の内容を把握した上で、「所得税法の規定の解釈が、問題となった。」と「問題となったのは、所得税法の規定の解釈だった。」のどちらが文章の流れが自然なのか。続けて読んでいけば、後者の方が自然であることがわかると思います。これは、やはり、古い情報が前にあり、新しい情報が後にあるからです。
英文でも、at issueが前の内容に関連した情報なので、あえてイメージの型を壊してでも、論理の流れを優先してそれを前に持ってきているわけですね。その上で、その後の部分を倒置にしているということです。

では、英文の構造に戻って、名詞Aを見てみましょう。

the interpretation of a provision in the Income Tax Law stipulating that income tax will not be levied on inheritance, bequests, gifts or donations from an individual

名詞Aには、「形容-分詞句」の修飾が付いています。その内部構造を確認してみましょう。

イメージ3を利用しています。ちなみに、この「形容-分詞句」は、その直前のthe Income Tax Lawではなく、a provisionを修飾しています。the Income Tax Lawのような固有名詞には、限定の形容詞はつきませんので、注意してください。この中の名詞Bは、名-サイン節です。その内部構造は、

イメージ1+副-前置詞句です。

日本語訳

At issue was the interpretation of a provision in the Income Tax Law stipulating that income tax will not be levied on inheritance, bequests, gifts or donations from an individual.

「問題となったのは、所得税は、個人からの相続財産、遺産、贈与、寄付には課税されないと規定している所得税法の規定であった。」

ニュース全文へのリンク

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100707a3.html